しぐれ庵

ロンリー・ウーマンが棲む自由空間から発信します。

NNNドキュメント「化学物質過敏症~私たちは逃げるしかないのですか~」

毎週、わたしが録画しているNNNドキュメント(日本テレビ)だが、2019年2月25日(月) 00:55~01:50 に放映された「化学物質過敏症~私たちは逃げるしかないのですか~」は凄絶だった。
わたしは年々症状がひどくなる花粉症に悩まされているが、化学物質過敏症は較べようもなく深刻である。
地球という星から脱出して、地球より次元の高い星で暮らすしかないのではないか、と思えるほど逃げても逃げても化学物質が追いかけてくる。
それほど現代人の身の周りは化学物質であふれている。

数組の家族が登場するが、顔をテレビカメラに晒して語るのは勇気のいることだっただろう。
化学物質過敏症に対する理解と、だれが突然発症してもおかしくないという現実を観る側に突きつけてくる。
多くのひとに観てほしい番組である。

とりわけ子どもの化学物質過敏症は痛ましい。
高知市の澤村さん一家は、母親と2人の娘が化学物質過敏症だ。
通学できなくなった長女•あかねさんのために澤村さんは校長や教育委員会と話し合いを重ね、学校は特別支援学級として教室をリフォームした。
自身も化学物質過敏症の建築家•足立和郎さんが設計を担当した。
完成した教室であかねさんがマスクをはずし、妹と走りまわる姿にわたしは安堵した。
だが通学し、勉強の遅れはなくなったとしても、友だちと一緒に学んだり、遊んだりすることはできないのだ。
あかねさんは自分の化学物質過敏症を理解してもらうために数枚のポスターを描き、教室に貼り付けた。

澤村一家は、小林ゆうきくんの家を訪ねた。
母親の桂子さんも化学物質過敏症で、職場では防毒マスクを着用している。
ゆうきくんは4歳で化学物質過敏症を発症し、月の3分の1は学校を休む。
ペンキに反応して鼻血が止まらなくなった顔を、携帯に撮って保存している。
なぜか顔が笑っている。
もう笑うしかないという感じなのか。
ゆうきくんの通学する学校の校長は、ゆうきくんの症状を理解してもらうために、あかねさんの父親•智彦さんを学校に招いた。
「事情がわかってよかった」と語るクラスメイトがいた。

金沢市に住む中田秀子さんのケースは、自殺を考えるほど深刻だ。
秀子さんは40年間夫とともに友禅染の仕事をしてきた。
友禅染に使われている化学物質により化学物質過敏症を発症したらしく、ある日突然、呼吸困難になった。
秀子さんは専門医を受診することができないので、化学物質過敏症と診断されていない。
化学物質過敏症の専門医は少なく、受診できないひとが多く存在するらしい。
長時間たくさんの人に接し、化学物質にさらされることは、化学物質過敏症を患う身には耐えられない。
秀子さんの夫は家探しをしたり、重曹を使った衣類の洗濯をしたりして疲弊していた。
夫から離婚という言葉を聞いた秀子さんが自殺を口にしたので、夫は撤回した。
タバコを吸う娘さんと秀子さんは冷たい関係になっている。
泣くしかない秀子さんの今後が憂慮される。

化学物質過敏症はだれでも発症する可能性があり、患者は人口の7.5%と推測されている。
いまのところ国は無策である。